2017年10月13日金曜日

陸奥紙 みちのくがみ



平安時代、陸奥国平泉を中心とした地域で漉かれた檀紙(*1)で、中央にても消息の料紙として用いられたことが文献に見られる。

精良上質の紙であったらしく『源氏物語』には「うるはしき陸奥紙」と記されている。

原料は楮(*2)の繊維である。


*1 だんし
*2 こうぞ

2017年10月6日金曜日

茶道秘伝 ちゃどうひでん




 一巻。

 織部が「伏飛州」の執心懇望により書き与えたもので、利休相伝の茶法に自身が若干加筆したといわれる全百十二箇条の条文から成っている。

 一般に『織部百ヶ条』として流布している茶法書と大略同内容である。

2017年9月29日金曜日

置上 おきあげ



胡粉(*1)を盛り上げて文様を表す技法。

菊華を置き上げにした棗、曲水指、香合、莨盆などがある。

天正13(*2)秀吉が正親町天皇に献茶の折、利休が好んだといわれる木地菊置上大棗は特に有名であり、置上を応用した茶道具はこれに始まるものと思われる。

*1 ごふん
*2 1585


2017年9月22日金曜日

稲田石 いなだいし



石材の一種。

茨城県稲田山から筑波山間にわたる山地から産する花崗岩で総称して茨城石という。

そのうち稲田付近から産するものが豊富で良質で稲田御影(*1)とも呼ばれる。

大体粗粒質で、白色の上に黒雲母が黒斑となるのが一般的特徴である。


*1 いなだみかげ

2017年9月15日金曜日

布泉形手水鉢 ふせんがたちょうずばち



大徳寺孤篷庵の山雲床前にある手水鉢。

小堀遠州の創案になる。

円形鉢形で中央に方形の水穴が開けられ、その左右に「布」と「泉」の二字が浮き彫りされている。

布泉は中国後周の銭の名で、銭の流通することのたとえ。



2017年9月8日金曜日

焼抜き やきぬき



 
 鋳金技法の一種。

釜の仕上工程で、鋳型より取り出した釜を炭火中に入れて十分に焼き、表面を一皮むいて仕上げる技法。

地肌を柔らかい感触にするためのもので、これを行なった釜を焼釜といい、行なう以前の釜を生釜という。

この技法は辻与次郎の創意による。

2017年9月1日金曜日

定家緞子 ていかどんす



名物裂の一つ。

地は茶・萌黄など、文様は萌黄または茶で流水に菊と桔梗のあるものといわれる。

しかし『古今名物類聚』あるいは名物裂帳に見るのは流水ではなく二重蔓唐草に菊花を配したもの。

京都島原の遊女定家太夫の打ち掛けの裂と伝えられる。



2017年8月25日金曜日

練描 ねりがき



漆工芸の加飾法の一。

漆に金銀粉を練り混ぜて、模様や文字を表す法。

漆面に描く場合は細粉を用い、研ぎ出す場合はやや粗い粉を用いる。

透き漆(*1)や彩漆(*2)などを適度に使い分けたり、筆勢によって濃淡を出す。

(*3)や油を用いる場合もある。

*1 すきうるし
*2 いろうるし
*3 にかわ


2017年8月18日金曜日

戸山焼 とやまやき



尾張徳川家江戸屋敷にあった陶窯。

外山焼・楽々園焼ともいう。

尾張家十二代斉荘は国元より加藤仁兵衛・加藤太兵衛・加藤唐三郎の三人を呼び、廃絶していた窯を再興、京都より樂了入を招き茶器を焼かせたりしたこともある。

市ヶ谷付近に窯があったといわれる。


2017年8月11日金曜日

釜敷 かましき


炉・風炉からおろした釜の下に敷く物。

古くは釜据・釜置ともいった。

素材は、組物・紙・竹・板。

組物には唐物と和物があり、材料は、籐(*1)・蓮茎(*2)・菅(*3)・紙縒(*4)・竹・竹皮・色糸など各種がある。

竹釜敷は、節を平たく切って穴は開けず、水屋用として用いる。



2017年8月4日金曜日

奥田木白 おくだもくはく



奈良赤膚焼の陶工。

本名は奥田武兵衛、屋号の柏屋にちなんで木白と号した。

名工として知られ、仁清・楽茶碗などの写を得意とし、特に能人形は有名である。

作品には「赤膚山」「木白」の印銘を押している。

 2代目も名工と評され、初代の印と同じ印を用いている。

2017年7月28日金曜日

竹節高台 たけのふしこうだい


高台の一種。

略して竹の節ともいう。

茶碗の高台が竹の節状になったのをいう。

高台の内を削り、外を削るうちに鉋(*1)が当たって竹の節形になる。

井戸茶碗の約束の一つになっているが、その他の朝鮮茶碗や唐津茶碗などの特色にもなっている。


*1 かんな

2017年7月21日金曜日

丸太舟花入 まるたぶねはないれ



宗旦好。 

利休は竹の花入を種々工夫して切ったが舟形はない。 

元伯宗旦が京都の西、嵯峨へ行った時、嵐山の麓を流れる大堰川(*1)に浮かぶ筏を見て、初めて切ったのがこの丸太舟と伝えられている。

 竹舟には蔓も鎖ではなく、感じの柔らかな藤蔓になっている。


*1 おおいがわ


2017年7月14日金曜日

間合紙 まにあいがみ



間似合紙とも書く。

広く長い形に漉いて、半間(*1)の間(*2)に合う紙という意味で、屏風や襖または畳の大きさに合うように漉いた鳥の子紙の一種。

古来、摂津国有馬郡塩瀬村や越前が名産地である。

大きさは品種によって多少異なる。


*1 はんげん

*2

2017年7月7日金曜日

泥絵 でいえ



漆器の面に金銀泥をもって絵を描いたもの。

漆が乾く寸前に水で溶いた金銀泥で文様を描き、その水分が蒸発すると泥はしっかり固着する。

正倉院宝物中にある金銀泥絵は泥を膠(*1)で溶いた普通の泥絵だが、この手法は尾形光琳の作品にだけ見られるものである。


*1 にかわ

2017年6月30日金曜日

瑞穂流 みずほりゅう



茶道流派の一つ。

紀州日高の城主 玉置権頭に始まるという。

この16(中興2)玉置一成の著に『茶道要鑑』がある。

 安政2(*1)和歌山の大火にあい、すべてを失ったといわれる。

一子相伝、ほかに教授もしないので埋もれたに近い。


2017年6月23日金曜日

義山 ぎやまん



義山は当て字。

ガラス製の器をいう。

ポルトガル語のダイヤモンドから点じた語で、彫刻を施したガラス製品をギヤマン彫りとよんだところから、19世紀以降ガラス製品一般をさすようになった。

水指や、向付・菓子鉢などの懐石用具に用いられる。

2017年6月16日金曜日

手柄 てがら



人から賞賛されるような技量や功績。

主として茶湯における趣向や道具組などで優れた働きをすることをさす。

室町後期から江戸初期まで、茶湯者や数寄者が先例にこだわらず茶湯をしていた時期には、茶湯における功績や実績がその人物の評価となった。

2017年6月9日金曜日

直書 じきがき



器物の箱蓋の表裏や側面、また、器物自体の表面や底裏、茶碗の高台際などに、墨あるいは漆で直接施した書付をいう。

これにより作者・制作地・銘・伝来の由緒などが判定できる。

器物の所有者・茶人・家元・宗匠などのものが最も尊ばれる。


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2017年6月2日金曜日

塩辛 しおから



魚類・貝類・烏賊・蟹などの肉・卵・腸などを部分別に塩漬けにした発酵食品。

古語では「なしもの」と表現された。

塩味を控え、酒や麹を併用するなどすると、一味違った食品になる。

今日の茶料理ではこちらを取り合わせられることが多い。

2017年5月26日金曜日

蛍手 ほたるで



白磁装飾法の一種。

白磁胎に細かい透し彫りを施して文様を表し内外総体に透明釉を掛けると、透しの部分がガラス質の透明釉で埋まり、蛍光を連想させる所からこの名が付いた。 

古くは12世紀のペルシャ陶器、中国では明代の磁器に蛍手の技法がみられる。




2017年5月19日金曜日

本焼 ほんやき



器物を焼成する上で、最も重要となる焼成段階のこと。

和物では素焼の後に施釉して本焼に入るが、中国物は生掛けのままで本焼を行う。

素地を焼き締めるとともに釉を溶着させるため高温で焼成され、この焼成が行われる窯は本窯とよばれる。

2017年5月12日金曜日

捻り返し ひねりかえし



茶入の口造りの名称。

茶入を轆轤(*1)で形成する時、甑(*2)の上端を外へ折り返すことによって出来、平返し・丸返し・口紐などがある。

茶入の容姿を見る上に重要なポイントとなっており、唐物茶入の捻り返しは総じて鋭く、端正である。

*1 ろくろ

*2 こしき = 筒状に高くなった口(くち)
 

2017年5月5日金曜日

総箱 そうばこ



由緒ある茶入や茶碗などは何重もの箱に納まり、替蓋や替袋の箱が付いている。

また、掛物・茶杓・添状・鑑定書・由来書などが添っていることも多い。

これらの散逸を防ぐため、全体を一つの大きな箱に入れて保存するが、その箱のことをいう。

2017年4月28日金曜日

掻合塗 かきあわせぬり



薄く一回だけ漆を塗って仕上げる塗り方。

木や紙などの器に漆が浸み込むのを防ぐため下地に柿渋を用いるため「柿合塗」と書くこともある。

また少量の漆を箆(*1)でしごいたのち、刷毛で掻き合わせるように塗るので「掻合塗」とも書く。


*1 へら


2017年4月21日金曜日

旅箪笥 たびだんす



利休居士が小田原の役に従軍した際、旅持ちの茶箪笥として創案し使用したといわれる棚物の一種。

形は大と小の二種あり、一つはこの利休形を基本とする大のものと、後年これを一回りほど小さくし、中の棚の位置や形を変えて作られたものとである。


2017年4月14日金曜日

清浄石 せいじょうせき



縁先手水鉢の一つで、鉢前の景石。 

覗き石とも。

鉢の右か左に、やや手前のほうに水汲み石と反対の位置に立てる自然石で、立石の意匠とする。

『築山庭造伝(*1)』後編巻中に、「清浄石は後脇に立て鉢前へ除きたる石なり」と説明している。



*1 ちくやまていぞうでん 18世紀中頃 北村援琴著

2017年4月7日金曜日

延段 のべだん


地表面より少し上げた敷石道のこと。

正方形・長方形・台形などの切石ばかりを幾何学模様に組み合わせたもの(切石敷)、切石と自然石とを用いたもの(寄石敷)、自然石ばかりのもの(玉石敷など)と、真・行・草の三体を表す形式がある。






2017年3月31日金曜日

小上げ こあげ



釣釜にて炭点前をする時、鎖とか自在の鉤(*1)を少し上げてから釜を鎖から外し上げる。

その最初に上げるのを小上げという。

釜を上げて炭点前に移る時に上げるのを大上げという。

利休形鎖なれば、小上げは三つほど、大上げは五つほどとなる。

*1 かぎ


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